目的:
国際共同研究(ISAT)の報告を受け我が国における動脈瘤に対する血管内治療の実態を明らかにすることが求められたため、国内で脳血管内治療に積極的に取り組んできた24施設の実績をまとめて報告した。
方法:
各施設で血管内治療を行った脳動脈瘤の治療実績をアンケート集計した。
結果:
RESAT1*1(1997-2002)
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RESAT2*2(2003)
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参加施設:
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20
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24
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動脈瘤塞栓術総数:
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4064
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1200
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破裂脳動脈瘤瘤内塞栓術:
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1488
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439
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70歳以上:
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33%
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36%
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後方循環(椎骨脳底動脈系):
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46%
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41%
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重症(Grade IV以上):
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31.4%
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30.4%
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技術的成功:
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96.2%
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96%
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結果(全体のGR+MD):
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73%
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72.4%
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結果(Grade I-IIIのGR+MD):
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86.8%
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88.9%
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再出血:
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3.1%
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2.5%
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治療合併症(死亡+後遺症):
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5.6%
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4.2%
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治療方針:
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開頭術優先が大多数
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血管内治療を積極的に
活用が多数 |
*1 RESAT1: 国内での電気離脱式プラチナ製コイル市販~ISAT報告以前
*2 RESAT2: ISAT報告後(2003年)
結論:
我が国の脳血管内治療の中心的施設における脳動脈瘤塞栓術の治療成績は、高齢者・重症者・手術が困難な後方循環の症例を多く治療しているにもかかわらず、高い技術的成功率と比較的低い合併症率・再出血率により社会・家庭復帰率が72%以上と満足すべき結果を残している。RESAT1とRESAT2ではその詳細に大きな変わりはないが、ISAT報告および国内の良好な治療実績を背景に、多くの研究参加施設で脳血管内治療を考慮した治療選択が行われるようになった。